過小評価されるビジネスユーザー系サイト:朝日コム、日経ネット

上記のデータからは、Oldマスメディア系WEBメディアが新興WEBメディアに完敗しているようにみえる。しかし、WEB視聴率調査は家庭のPCからインターネットを利用しているユーザーをモニターとした調査データのため、職場や学校でインターネットを利用しているユーザーの利用状況が反映されていないことに注意しなければならない。
インプレス「インターネット白書2005」によれば、日本のインターネット利用者7000万人のうち、自宅のPCからの利用者34.9%、自宅&勤務先・学校のPCとの併用33.7%、勤務先・学校のPC17.9%、携帯電話・PHSの13.5%となっており、朝日コム、日経ネットなどの新聞社系・ビジネスユーザー系サイトについては、実態よりかなり低い数値になっていると思われる。
サイトへのアクセス状況をサブドメイン別にみた場合、ビジネスユーザー中心の日経ネットではほとんど有意なデータが得られないが、自宅と職場での併用が多いと思われる朝日コムでは、興味深いデータが得られる。
通常想定されるニュース系コンテンツ以外で、「アスパラクラブ」「住まい」「株価検索」の閲覧ページ数が予想以上に多いのである。
新聞本紙で積極的にPRしている「アスパラクラブ」は、接触者数もサブドメイン別トップ5にランク入り。
サブドメイン「住まい」は接触数は少ないけれどコンテンツが充実しており、平均視聴ページ58P:滞在時間40分と高いスコアを記録している。従来から不動産広告には強く、新聞広告を掲載したりチラシを折り込むなら「朝日」という定評のある媒体である。WEBサイトでもユーザーから信頼され情報収集に利用されていることが推察される。
注目すべきなのは有料コンテンツ「株価検索」である。平均視聴ページが221P、滞在時間は1時間57分という突出したスコアを記録している。デイトレーダー等の個人株主によるインターネット株式取引の普及と人気ぶりが伺われるデータである。
こうした状況をふまえて、旧体制・アンシャンレジューム側に属するアナログ系広告代理店としては、同じ陣営に属するマス媒体、特に新聞社と連携したハイネック重視型のクロスメディアキャンペーンを展開することが得策と考える。WEB2.0ロングテール重視型広告手法の有効性や将来性は認めつつも、トレンドに追随するエピゴーネンたちの「俗説」には抵抗勢力として対峙していきたい。