「トヨタの赤字転落リストラ」vs「内部留保を使って雇用を維持せよ」論を検証する

自動車生産世界ナンバーワン企業、トヨタの2009年3月期決算の営業損益が1,500億円の赤字になる見込みのようだ。同社の営業損益が赤字になるのは、1941年3月期の決算発表開始以来、初めてらしい。
トヨタだけでなく、ソニー・日立・東芝パナソニックなどの大手企業もそろって業績不振。生産調整や数千人〜数万人単位でのリストラのニュースが連日報道されている。
一方で、サブプライム問題以前の好景気によって蓄積した「内部留保」利益を使って雇用を維持せよ、という要望が労働組合与野党からなされている。
経営者サイドの経済連などは、これに対して「内部留保」は現金や預金のかたちではなく、相当割合は生産設備や商品の在庫などの形で保有されている。これらを売却して現金などに換えることは無理があると反論している。

実際のところはどうなのか。トヨタ自動車を例にとって検証してみた。会計や財務については素人なので、勘違いもあるかも知れない。床屋談義のそしりは免れないけれど、決算報告をベースにして具体的な数字を確認してみた。

トヨタの公表資料によれば、2009年(H21年)3月期の連結決算は売上高21兆5,000億円=前年度26兆2,800億円から5兆円弱のマイナス。営業利益1,500億円の赤字見込み。

トヨタ自動車 2009年(H21年)3月期:連結決算 見通し
※金額単位:億円

項目 09/3期 決算見通し 08/3期 決算実績
年月 2008/4-2009/3 2007/4-2008/3
売上高 215,000 262,892
営業利益 △1,500 22,703
税金等調整前当期純利益 △500 24,372
当期純利益 500 17,178