「あかりと、お母ちゃんのお好み焼きを食べたい」


そこに記されていたのは、冒頭の意外なひとこと。「あかりと、お母ちゃんのお好み焼きを食べたい」という短い手書きの「ことば」である。
「千春」のこのメッセージには、深い愛情を注いで育ててくれた母を子供「あかり」に自慢したいという思いや、お母ちゃん「初音」への深い感謝の思いが見事に表現されている。


「初音」は、店の仕事に夢中になっていて、娘への気配りや世話が行き届かなかったことを痛切に悔やんでいる。しかし、「千春」が母の愛情を十二分に理解していたことが、遺書によって明確になったことは「初音」にとっても、こころからの癒しになったはずである。
そしてまた同時に、子供「あかり」を母と同じように育てることが出来ないことへの無念の思いも表現されており、「あかり」も母の深い愛情を実感できたはずである。


このシナリオの制作者はだれか。NHKの「てっぱん」HPでは、脚本は寺田敏雄今井雅子関えり香の連名となっているが、放映番組のタイトルには「作:関えり香」と表記されている。この「ひとこと」を書いたシナリオ作家、関えり香を高く評価したい。


主人公「村上あかり」を演じる瀧本美織も可愛いが、おばあちゃん「田中初音」を演じる富司純子=昔のタレント名・藤純子の存在感が圧倒的に印象深い。

われわれ団塊世代にとっては、40年ほど昔に大流行りした東映の映画「緋牡丹博徒シリーズ」で博徒・緋牡丹のお竜を演じた、若く清楚で凛然とした美女ぶりが今も忘れがたい。


NHKの朝の番組、連続テレビ小説「てっぱん」
http://www9.nhk.or.jp/teppan/