NHK朝のテレビ番組「てっぱん」にみる「ことば」のチカラ


NHKの朝の番組、連続テレビ小説「てっぱん」を見ていて、久しぶりに「ことば」のチカラを実感した。12月3日に放映された第59話である。
その「ことば」とは、主人公の「あかり」を生んだ母「千春」の遺書に記された「あかりと、お母ちゃんのお好み焼きを食べたい」という短い2行の「ことば」。1枚の白い紙の真ん中に書かれた手書きの文字である。
脚本家の見事な力量を示す「ことば」であると思う。


ドラマの舞台はチンチン電車が走る大阪の下町。「あかり」の祖母「初音」はお好み焼き屋を営みながら、娘「千春」を育てていたが、仲違いして娘は家出。実家を離れて尾道で暮らしていたが「あかり」を生んでまもなく死亡。村上家の養子として育てられた「あかり」は、高校卒業後「初音」といっしょに暮らすことになる。


「千春」の家出をきっかけに廃業して、長い間閉鎖されていたお好み焼き屋を、「あかり」が店主となって営業を再開。悪戦苦闘している状況の中で、ある日、尾道で世話になっていたお寺から、先代の僧侶に託した「千春」の預かり文書=遺書が見つかる。


家出の原因は不明であるが、当時「千春」は恋愛問題に悩んでいたふしがあり、「あかり」の父親はだれか誰も知らない。

「千春」の残した遺書には、父親の名前が記されているのではないか、母「初音」への恨み辛みが記されているのでないか、家出をして音信不通になってしまった事情が記されているのではないか等々、さまざまな思惑がいきかう中で開封された遺書。