祇園祭、山鉾巡行を見学

7月17日の日曜日、祇園祭山鉾巡行を見学に京都へでかけた。
関西に長い間住んでいるが、初体験である。
どうせ見学するなら、スタートから見てみたいと思い、午前9時の巡行開始に合わせて、朝6時に起床。
8時30分頃には、巡行の出発地点・四条烏丸に到着。文字通り、立錐の余地がない大混雑。満員の通勤電車のような人、人、人。
背後で会話している事情通によれば、山鉾巡行は例年7月17日に行われるが、今年は日曜日。
平日に行われる場合と比較すると、圧倒的に人出が多く、格別の混雑ということらしい。


祇園祭

祇園祭山鉾巡行長刀鉾

稚児さんが鉾に乗り、四条烏丸から長刀鉾が出発をする光景を見届け、辻回しの行われる四条河原町へ地下通路を使って移動。
辻回しとは、山鉾を四つ角で方向転換し回転させること。巡行の見所のひとつである。
地下通路から四条河原町交差点に上がってみると、こちらは四条烏丸以上の人出で大混雑。一部の通路では、地下から地上へ上がることができないほど。
辻回しの光景をビデオ撮影するのは困難と見切りを付け、もうひとつ先の辻回し地点・京都市役所前御池通りへ移動。
こちらもかなりの混雑であるが、比較的動きやすく、自由が効く。
長刀鉾をはじめ、函谷鉾、月鉾、菊水鉾など高さ約25mの巨大な山鉾の辻回しを見学することができた。

  
  

だんじり祭のような勇壮さやスピード感はないが、動く美術館と評される山鉾が巡行する雅やかな光景もまた、味わい深い。長刀や三日月など鉾の頂上にある鉾頭も、シンボリックで美しい。
祭は平安時代に始まり、室町時代に町衆が山鉾を作って巡行させる現代のようなかたちになったとされる。
山鉾の前後左右の装飾は、主に絨毯。ギリシャ神話の神々やピラミッドなどエキゾチックなモチーフの国際色ゆたかなタペストリーが多い。
南蛮貿易によるものか、西洋渡来の装飾品に彩られた山鉾は、町衆の圧倒的な財力と美意識の高さを感じさせる。
江戸時代の古文書に、越後屋3000両、松坂屋2000両の寄進をしたとの記録がある。1km四方の狭いエリアの町衆が、30以上もの山鉾をつくり、室町時代から現代まで約700年以上もの長期間にわたって、祭を維持継承してきたことに感嘆せざるを得ない。