日本年金機構が、国民年金の支払い督促を民間業者に委託。こんなこと、許せるの?!

株式会社アイヴィジットという会社から、家族宛に電話が入った。日本年金機構から委託されて「国民年金の納付状況のお知らせ」をしている、とのこと。
新しい手口の振込詐欺かも知れない、と警戒。取りあえず相手の連絡先電話をひかえて、ネットで調べてみた。
どうやら、日本年金機構から委託されたというのは事実らしい。
日本年金機構は、悪名高い「社会保険庁」が解体され、公的年金業務の運営を担う組織として2010年に発足した特殊法人である。
年金の未納者が近年増加。国民年金のみの未納率は約40%にも達する。年金制度の維持運営に際して、未納対策は必須課題であることは理解できる。
しかし、公的年金業務の運営を担う(公的機関のハズの)日本年金機構が、支払い督促を民間業者に委託することは、許されていいのだろうか。
日本年金機構では、低コストでより良いサービスの提供を目指す「市場化テスト事業」と称して、平成19年10月から国民年金保険料の収納業務=電話や文書、戸別訪問による納付督励及び保険料の収納業務を民間企業に委託。「アウトソーシング」といえば聞こえは良さげだが、要は、面倒でトラブルの起きやすいシゴトは、下々にマルナゲということ。
委託されている民間企業は、全国で数社に上る。
ちなみに、株式会社アイヴィジットhttp://ivisit.co.jp/は、家電量販店等への店頭販売支援、セールスプロモーション、訪問によるサービス提供等を主要業務とする会社のようだ。
訪問によるサービス提供の項では「連絡のとれなくなった方へ訪問し、Face to Faceのコミュニケーションによるサービスを提供します」と強調されている。
支払いを督促するためには、未納者の重要な個人情報=ネガティブで不利益な個人情報を、年金機構から委託先の民間企業に渡してしまうことになる。
委託先の民間企業から情報が漏洩すれば、当世流行の貧困ビジネスにとって、格好のターゲットになるであろう。
国民年金という公的年金制度は、公私の特性が曖昧なヌエのような特殊法人ではなく、国の機関であることが明快な組織が運営すべきである。が、財政基盤という根幹が危ういものになっているため、きれいごとを言ってはおれない現実を実証するちょっと悲しい事実のひとつである。