SEO・SEM関連の笑えない笑い話

TVや新聞などのマス広告とインターネットを連動させたクロスメディア型のキャンペーンが、ごく当たり前の状況になってきた。WEB2.0の旗印の元でインターネットを使えば魔法のように難題が解決できるという「新興宗教」が流布しているようである。
広告代理店の端くれである我が社の職場でも、CGMSEOSEMという「用語」が頻繁に交わされるようになってきた。ロジャースのイノベーター理論によれば、レイト・マジョリティ=後期多数採用者、あるいはラガード=伝統主義者のレベルにまで「用語」としては認知されてきたといえるだろう。
広告主に提出する企画書にも、WEBプロモーション計画と題された立派な理論や能書きが少なからぬボリュームのページ数を割いて記述されているが、具体的なオペレーションとしては、かなりお寒いのが現状ではなかろうか。
SEOSEM関連の笑えない笑い話としては、数千戸規模のマンション分譲に関わる「芝浦の島」キャンペーンが業界では周知である。木村拓哉ほかスマップの全メンバーをイメージキャラクターに起用して<「芝浦の島」で検索>とアピールした大型キャンペーンであり、億単位の広告費を投入したにも拘らず、肝心の検索結果ページでは公式HPより上位に個人のブログが表示されていたというのがオチである。マス広告とインターネットを連動させたクロスメディア型のキャンペーンの先駆的存在であり、手法としては私自身も高く評価しているが、「頭デッカチの尻ツボミ」の典型。検索エンジン対策が十分機能せず、検索エンジンのサイトランキングでは、公式HPより個人ブログが上位として評価されていたのだ。
我が社でも、同様の笑えない笑い話には事欠かない。
最近の事例としては、新聞等の従来型リアルメディアの広告で「○○○で検索」と告知しWEBへ誘導しようとしたけれど、「○○○で検索」した結果「Not found」となり大騒ぎとなった「事件」がある。
検索結果にNot foundと表示されるのは当然だ。公式HPがアップしたのは、リアルメディアの広告が露出する前日なので、検索エンジンのデータベースに登録されている可能性は極めて低い。GoogleであれOvertureであれ、検索連動広告も公式アップしていないサイトを広告のリンク先としてエントリーしようがない。
具体的なオペレーションレベルでは、さらに加えてお粗末な問題がある。公式アップしたHPが、新着サイトとしていち早くディレクトリー入りしていなければならないはずのクライアント企業サイトへの登録がなされていないのだ。原因は、企業サイトを運営する本社IT管理部門とリアルな事業を展開する支社との業務連絡の不備。
企業のマーケティング活動において、SEOSEMに代表されるインターネットの活用は確かに重要ではあるけれど、アナログで泥臭い日常業務をキッチリ遂行することを軽視する風潮には賛同できない。シェイクスピアハムレット」の有名な台詞「この天と地のあいだにはな、ホレーショ、哲学などの思いもよらないことがあるのだ」と言い返しておきたい。