WEBサイト視聴率ランキング:2006年2月20日〜3月19日

広告媒体としてみたインターネットの現状を理解するために、主要なWEBサイトのアクセス状況を比較対照してみた。各媒体の発表する数値は我田引水の感があるので、客観的な指標としてネットレイティングスとビデオリサーチインタラクティブが共同運営するモニターによるWEB視聴率調査データを使った。
<月間接触者数によるWEBサイト全体ランキング>
※2006年2月20日〜3月19日:月間データ
順位:ドメイン名 : 推定接触者数[千人] : 平均視聴ページ : 平均滞在時間 :
1 yahoo.co.jp : 23,107 : 560.4 : 3:19:54 :
2 nifty.com : 12,226 : 43.0 : 0:19:37 :
3 rakuten.co.jp : 11,976 : 105.8 : 0:38:45 :
4 infoseek.co.jp : 11,045 : 68.4 : 0:29:19 :
5 amazon.co.jp : 10,446 : 30.3 : 0:13:06 :
6 biglobe.ne.jp : 10,097 : 42.8 : 0:18:43 :
7 microsoft.com : 10,035 : 10.2 : 0:06:53 :
8 jword.jp : 9,747 : 20.2 : 0:07:12 :
9 goo.ne.jp : 9,439 : 58.6 : 0:31:04 :
10 geocities.jp : 9,337 : 36.8 : 0:14:42 :
11 msn.co.jp : 9,230 : 36.0 : 0:13:59 :
12 ocn.ne.jp : 9,111 : 25.2 : 0:11:05 :
13 fc2.com : 8,761 : 36.8 : 0:19:37 :
14 msn.com : 8,607 : 59.1 : 0:28:12 :
15 livedoor.jp : 8,029 : 25.7 : 0:17:08 :
16 google.co.jp : 7,450 : 156.0 : 0:47:53 :
17 dion.ne.jp : 6,830 : 17.7 : 0:07:54 :
18 2ch.net : 6,690 : 55.4 : 0:49:24 :
19 google.com : 6,265 : 41.2 : 0:20:00 :
20 excite.co.jp : 6,063 : 37.5 : 0:16:13 :
家庭PCから接触したモニターデータなので、接触者数は世帯数にほぼ等しいと解釈すると、Yahoo! JAPAN:2310万人の世帯リーチ率は次のようになる。
日本全国の世帯数5000万世帯に対する比率=46.2%
ネット利用世帯数3000万世帯に対する比率=77.0%

接触者数によるWEBサイト視聴率ランキングの要旨

月間接触者数はYahoo! JAPANが2310万人でトップ。WEBサイト全体ランキングでは検索またはISP系ポータルが常連であったが、ショッピングサイトやコミュニティ系サイトの上昇が目を引く。楽天amazonがトップ5のうち2サイトを占めている。amazon はランク急上昇。Jword Geocities Fc2 2ch等のランクアップも考え併せるとWEB2.0時代の深化を反映したランキングとなっている。
■直近2006年3月20日〜26日のWEBサイト視聴率ランキング
http://www.videoi.co.jp/data/wsr/wsr060405.html
■昨年2005年3月21日〜27日のWEBサイト視聴率ランキング
http://www.videoi.co.jp/data/wsr/wsr050406.html
を比較対照してみても、この一年の状況変化が推察される。
※上記のウェブ視聴率データは、いずれもビデオリサーチインタラクティブ調べ

平均視聴ページを指標とするWEBサイト視聴率ランキングTOP10

接触者数トップ100のうち平均視聴ページを指標とするTOP10は、
Yahoo! JAPAN:560P
Google156P
楽天:106P
Infoseek:68P
Goo:59P
msn:59P
cgiboy.com:58P
国税庁:56P
2ちゃんねる:55P
日経ネット:42P
上記の10サイトにパソコンテレビGyao:39P、朝日新聞社asahi.comが34Pで続いている。
Yahoo! JAPANの数字が突出して高いのは当然として、2位Google156Pという数字も驚異的である。自社サイト内にユーザーを滞留させるYahoo! とは相反して、ユーザーを自社サイトの外へ誘導するというトラフィック特性を有するGoogleの場合は、視聴ページが少なくて当然であるが、この数値は検索エンジンとして活発に利用されていることを裏付ける資料である。インフォシーク系の無料CGIレンタルサイトcgiboy.comや無料のパソコンテレビGyaoが大手マスコミ系サイトをしのいでベスト10入りしていることにも注目したい。
SNSの代名詞mixiは月間接触者数170万人でトップ100のランク外であるが、平均視聴ページが何と508Pという驚異的な数字になっている。WEB2.0時代を象徴するデータといえよう。

Yahoo! JAPANのサブドメイン別視聴率:キラーコンテンツ「オークション」

平均視聴ページや接触時間で断然トップのメガポータルYahoo! JAPANの利用状況をより詳細に分析するためにサブドメイン別の視聴率を調べてみた。
サブドメインランキングは「トップページ」に次いで「検索」「デイリーニュース」「ヘッドライン」「ログイン」がトップ5。注目すべきは、トップ50の内で23ものサブドメインが「オークション」関係で占めていること。一強他弱にみえるWEBサイトの勢力図であるが、広告媒体としてみた場合のYahoo! JAPANの媒体パワーは、かなり割り引いて考える必要があるかも知れない。

過小評価されるビジネスユーザー系サイト:朝日コム、日経ネット

上記のデータからは、Oldマスメディア系WEBメディアが新興WEBメディアに完敗しているようにみえる。しかし、WEB視聴率調査は家庭のPCからインターネットを利用しているユーザーをモニターとした調査データのため、職場や学校でインターネットを利用しているユーザーの利用状況が反映されていないことに注意しなければならない。
インプレス「インターネット白書2005」によれば、日本のインターネット利用者7000万人のうち、自宅のPCからの利用者34.9%、自宅&勤務先・学校のPCとの併用33.7%、勤務先・学校のPC17.9%、携帯電話・PHSの13.5%となっており、朝日コム、日経ネットなどの新聞社系・ビジネスユーザー系サイトについては、実態よりかなり低い数値になっていると思われる。
サイトへのアクセス状況をサブドメイン別にみた場合、ビジネスユーザー中心の日経ネットではほとんど有意なデータが得られないが、自宅と職場での併用が多いと思われる朝日コムでは、興味深いデータが得られる。
通常想定されるニュース系コンテンツ以外で、「アスパラクラブ」「住まい」「株価検索」の閲覧ページ数が予想以上に多いのである。
新聞本紙で積極的にPRしている「アスパラクラブ」は、接触者数もサブドメイン別トップ5にランク入り。
サブドメイン「住まい」は接触数は少ないけれどコンテンツが充実しており、平均視聴ページ58P:滞在時間40分と高いスコアを記録している。従来から不動産広告には強く、新聞広告を掲載したりチラシを折り込むなら「朝日」という定評のある媒体である。WEBサイトでもユーザーから信頼され情報収集に利用されていることが推察される。
注目すべきなのは有料コンテンツ「株価検索」である。平均視聴ページが221P、滞在時間は1時間57分という突出したスコアを記録している。デイトレーダー等の個人株主によるインターネット株式取引の普及と人気ぶりが伺われるデータである。
こうした状況をふまえて、旧体制・アンシャンレジューム側に属するアナログ系広告代理店としては、同じ陣営に属するマス媒体、特に新聞社と連携したハイネック重視型のクロスメディアキャンペーンを展開することが得策と考える。WEB2.0ロングテール重視型広告手法の有効性や将来性は認めつつも、トレンドに追随するエピゴーネンたちの「俗説」には抵抗勢力として対峙していきたい。