若者達の心地よい隠れ家mixi(ミクシィ):格差社会の光と陰

インターネット業界ではsnsと動画が大ブームである。Yahoo! JAPAN の「2006年検索ワードランキング」では「mixiミクシィ)」が初めて1位となった。海外サイトでもあるにもかかわらず「YouTube」が圏外からの大躍進で7位にランクインしている。世界的にも注目されているようで「2006 Year-End Google Zeitgeist」によれば3位world cupを凌ぐ1位にsnsの新顔beboが躍進、2位myspaceとなっている。
mixi」に関しては、昨年秋に株式を上場。年商18億円の企業としては破格の時価総額となり、話題を集めたのは周知のとおり。
TV・新聞・雑誌等のマスメディア離れの著しいF1・M1層向けに好適な媒体であるとか、CGMマーケティング・バズマーケティング等のフィールドとして有望とかということでもてはやされてはいるが、手放しで礼賛するのはいかがなものか。
mixiの媒体資料によれば、登録ユーザー約600万人(2006年9月)を年齢別にみると24才以下の若者が約50%を占めている。インターネットやSNSが人類のコミュ二ケーションの歴史において革命的な価値を有することに関しては何の異論もないけれど、広告媒体としてmixiを見た場合、このユーザー構成には一抹の懸念を感じざるをえない。

20歳代の若者達がメインユーザーであることを、広告主たちはどう評価するのだろうか。
いわゆる非正規労働者(パート・アルバイト・派遣・契約・嘱託といった人)の割合が各年齢、男女共に上昇している格差社会の進展。中でも、男女とも15〜24歳の若者の非正規比率が急激に高まっていることを考えると、バラ色どころではないのではと思わざるをえない。定義にもよるがフリーターの人数は400万人以上といわれているのだ。20歳代の若者達がメインユーザーであることは、この企業が1997年IT系求人情報サイト「Find Job !」を立ち上げることから始まったことと無縁ではなかろう。mixiの人気コミュニティのテーマやランキングをみても、フリーター・ニートとよばれる若者達が少なからぬ比率で含まれているのではないかと推察される。孤独な彼らにとって、クラブやサークルの部室のように、心地よい隠れ家のようなスペースなのであろう。

今回の上場にあたっては、ITバブル/ビットバレーブームの仕掛人達が背後に存在するようだ。mixiがインターネットメディア事業においての売上げを株式の時価総額にふさわしいレベルに伸ばすことができるかどうか注目しておきたい。

「非正規雇用者比率の推移」「フリーター・ニート数の推移」については、各種統計資料を網羅して編集した、アルファ社会科学株式会社:本川裕氏の労作『社会実情データ図録』下記URLを参照した。

■パート・アルバイト等非正規雇用者比率(年齢別)の推移
http://www2.ttcn.ne.jp/~honkawa/3250.html

男性平均では、1999年に10%を超え、2006年には16.7%に達している。女性の平均では、2004年以降、半数を越えるに至っている。
特に、男女とも15〜24歳の若者の非正規比率が急激に高まっており、いわゆるフリーターの増加を裏づけるものとなっている。

▼非正規雇用者比率(男女年齢別)単位:%

総数比 15〜24歳 25〜34歳
1997 9.5 29.5 4.9
2002 13.4 40.1 8.6
2006 16.7 45.1 13.6

総数比 15〜24歳 25〜34歳
1997 39.8 34.8 27.6
2002 45.9 46.9 34.2
2006 50.6 51.5 41.6

■フリーター・ニート数の推移
http://www2.ttcn.ne.jp/~honkawa/3470.html
最近のフリーターの人数は、厚生労働省では201万人(2005年)、内閣府では417万人(2001年)としており、約2倍の違いがある。また、いずれの定義によってもフリーターの人数は10年間で倍増している。2004〜05年は景気回復に伴ってフリーターはやや減少傾向にある。<<