2009-02-21

インターネットの経済学：媒体＆広告関連主要企業の売上高・利益比較

媒体別に見た広告売上高において、TVに次ぐ第2位の座を狙うインターネット広告。Yahooファイナンスの会社情報および各社の決算資料を元にしてまとめたネット広告関連業界の主要企業の売上高・利益等の経営指標が下記表である。

企業名	連結/単体	決算年月日	売上高	営業利益	純利益	従業員数
ヤフー（2009年度見込み）	連結	2009.3.31	264,900	132,800	75,500	4,255
〃　（2008年度実績）	連結	2008.3.31	262,027	124,807	62,617	〃
〃	単体	〃	220,750	121,961	64,486	3,508
楽天	連結	2008.12.31	249,883	47,151	-54,977	4,118
〃	単体	〃	89,663	27,743	-292,410	2,123
ミクシィ	単体	2008.3.31	10,052	3,749	2,011	203
DeNA	連結	2008.3.31	29,736	12,662	6,776	540
〃	単体	〃	24,068	10,758	6,437	357
ドワンゴ	連結	2008.9.30	24,978	115	-2,298	709
〃	単体	〃	18,705	32	-2,117	403
USEN	連結	2008.8.31	281,577	12,428	-53,908	9,988
〃	単体	〃	114,222	8,424	-56,615	3,983
GMOインターネット	連結	2008.12.31	37,247	4,143	2,111	1,720
〃	単体	〃	12,162	1,622	2,166	499
cci（予測）	連結	2009.3.31	70,000	250	-1,120	433
〃	単体	〃	50,000	600	-1,500	308
DAC	連結	2008.11.30	45,826	1,406	843	415
〃	単体	〃	41,907	1,446	844	232
オプト	連結	2008.12.31	53,656	1,323	1,076	788
〃	単体	〃	47,504	1,128	-444	600
サイバーエージェント	連結	2008.9.30	87,097	4,629	1,030	1,873
〃	単体	〃	44,165	-385	-1,423	745

※金額の単位は、いずれも100万円

2009-02-21

インターネット広告業界の主要企業プロフィール

インターネット広告

Yahoo!と楽天については、一般的な知名度も高いが、その他のインターネット関連企業についてはなじみがないかと思うので、簡単にプロフィールを紹介しておく。

○ミクシィ：国内最大のＳＮＳ「ミクシィ」とIT系求人サイトを運営。24才以下のユーザーが過半数を占める若者向けの広告媒体として人気がある。
○DeNA：オークションサイト「ビッダーズ」の運営会社として発足。携帯モバイル最大級の「モバゲータウン」やKDDIと提携した「auオークション」のサービスを展開。
○ドワンゴ：ゲーム企画開発系の企業として1997年設立。「着うた」「デコメール」「ニコニコ動画」等のサイトを運営。エンタテイメント系コンテンツに強い。
○USEN：大阪有線放送社として発足。有線放送やカラオケ、光ファイバー販売、求人サイトDODA/an、インターネット動画GyaOを運営。
○GMOインターネット：ドメイン取得「お名前.com」やレンタルサーバー等のインターネット活用のインフラ事業と、「Jword」その他のメディア運営＆広告配信サービスを提供。
○サイバー・コミュニケーションズ（略称cci）：Yahoo! JAPANをはじめとするインターネット広告媒体の総合卸＝メディアレップのトップ。ソフトバンクと電通により設立されたが、今春、電通の子会社になる。
○デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム（略称DAC）：博報堂をはじめとする大手広告会社によって設立されたメディアレップの第2位企業。
○オプト：ネット専業広告代理店として、業界トップ。検索連動広告からディスプレイ型広告まで、オールラウンドな広告メニューの品揃え。電通および電通系メディアレップ cciやYahoo!との協業等により、業績は絶好調。
○サイバーエージェント：AmebaブログやECナビ等のWEB媒体と広告代理店機能を複合した企業。他のネット関連企業と同様に、株式上場利潤をバックにした投資ファンドの側面もある。上場前のmixi株主であり、上場後の株式売却で2007年度は20億円の利益を上げた。

2009-02-21

TV局や電通を上回る、Yahoo! JAPANの営業利益

インターネット広告

インターネット広告関連業界の主要企業、売上高や利益の一覧表をみてまず目を引くのはYahoo! JAPANの圧倒的な存在感。
2009年3月期の見込み売上高2640億円、営業利益1320億円、純利益755億円。営業利益率50.13％、純利益率28.50％の高収益企業である。
インターネット関連企業のなかでは、楽天とUSENも売上高では二アリーであるが、利益の面で大差がある。

Yahoo! JAPANおよびインターネット広告関連企業の売上高や営業利益を、TV局・電通等の有名企業と比較してみたのが下記グラフである。比較対象企業には、プロバイザーOCNを展開するNTTコミュニケーションズも含めている。

○NTTコミュニケーションズ:売上高1兆1545億円はYahoo! を上回るが、営業利益1047億円・純利益627億円はYahoo! に負け。
○電通：同じく、売上高はYahoo! を上回るが、営業利益・純利益は負け。
○フジテレビ・TBS：同上
○ユニクロ：日本の資産家トップに躍進したユニクロ社長の企業であるが、同上の結果。

余談であるが、NTTコミュニケーションズのWEBサイトはかなりできが悪い。少なくとも会社の経営状況に関する情報開示は嫌々やっているとしか思えない最悪のレベルである。

企業名	連結/単体	決算年月日	売上高	営業利益	純利益	従業員数
NTTコミュニケーションズ	単体	2008.3.31	1,154,500	104,700	62,700	8,500
電通	連結	2008.3.31	2,057,554	56,126	36,246	17,724
〃	単体	〃	1,585,982	36,281	24,533	6,498
フジテレビ	連結	2008.3.31	575,484	24,372	15,770	5,125
〃	単体	〃	382,971	22,420	15,121	1,442
TBSテレビ	連結	2008.3.31	315,175	20,624	19,022	4,990
〃	単体	〃	271,404	15,231	17,174	1,204
ユニクロ	連結	2008.8.31	586,451	87,493	43,529	8,055
〃	単体	〃	510,780	36,650	27,469	4,525

※金額の単位は、いずれも100万円

2009-02-21

純利益赤字が続出する、ネット広告業界のアブナい体質

インターネット広告

好調にみえるネット企業の経営指標であるが、純利益が赤字になっている企業が少なくない。
理由をみてみると、本業が好業績の場合は、グローバルな金融危機の影響で有価証券の評価損が大きな要因になっている。上場で得た巨額の資金を株式等に投資している金融資本の側面がマイナス効果として反映されているようだ。
また、一方では主力として育成しようとしている事業が赤字のまま。収益源となっていないという状況も見受けられる。
○楽天：純損失が549億7700万円となり、赤字転落。投資有価証券の評価損671億円を含む、特別損失809億円。約2500億円の売上高対比、約1/4以上の赤字。例のTBS買収騒動の後遺症でもある。
○ドワンゴ：YouTubeを上回る人気を集めているニコニコ動画であるが、まだ赤字。収益が得られていない。
○USEN：映像コンテンツ事業GyaOの赤字。YouTubeやニコニコ動画の人気に比べると影が薄い。
○サイバーエージェント：Amebaブログが約17億5800万円の営業赤字。07年度は収益に大きく貢献した投資部門が、有価証券9億6800万円の評価損によって赤字に転換。
○オプト：単体の業績では「有価証券評価損」増加により、純利益は赤字。
○ミクシィ：業績は好調のようだが、SNSブームが終わってしまった懸念がある。以前は18歳未満が利用できない規約になっていたが、昨年末からは15歳以上に緩和。入会にあたって会員の紹介が必要だった招待制から、今年春に登録制に移行すること。これらの制度改革が業績にどう反映されるか、ビミューである。