Yahoo! JAPANの「行動ターゲティング広告」

今日、Yahoo! JAPANの広告資料をチェックしていて、誠にうかつなことながら、注目すべき広告メニューに気づきました。
行動ターゲティング広告」です。「行動」というのは、要するに WEB上でのサイト閲覧「行動」。
例えば「Yahoo! JAPAN 行動ターゲティング 医薬 スーパーバナーMega」のセールスシートによれば<Yahoo! JAPANのユーザーが過去(4週間)に閲覧したサイトの履歴を分析し、健康や医薬に興味・関心をセグメントしてターゲティングいただけます。行動履歴をもとにしていますので、ユーザーの潜在意識をとらえることができます。スーパーバナーを掲載いただき、的確なメッセージ伝達にご利用ください>ということで、広告料は
0.25円/imps※1プロモーションにおける最低出稿金額は100万円となっています。

インターネット広告会社:サイバーウィング社長・広屋修一氏のブログ
■デジタルな広告達>行動ターゲティング広告(Behavioral Targeting)
http://hiroya.typepad.jp/blog/2005/07/behavioral_targ_a14b.html
によれば、行動ターゲティング広告について<広告販売の立場から見て、視聴者からは人気がありトラフィックも多いが、「媒体ターゲティング」だと広告主からはあまり人気のない、売りにくいという広告スペースが、「行動ターゲティング」により、広告主にも人気で広告在庫も豊富なページに生まれ変わる可能性を秘めています>と解説されていますす。
マイナーサイト・ロングテール向けの広告手法として出発した「行動ターゲティング広告」が、我が国では1強多弱の頂点に君臨するスーパーメジャーサイトYahoo! JAPANの広告メニューとして販売されているわけです。
例によってアメリカのネットベンチャーが開発したノウハウで、当初はYahoo.comが実験的に導入し、日本ではメディアレップDACがいち早く提携に動いた独占販売メニューだったようですが、現在ではCCIの扱いメニューにもラインアップされています。

WEB2.0のインターネット広告手法として、キーワードマッチ/コンテンツマッチ/サイトターゲティングの3点セットがGoogleの基本メニューですが、コンテンツマッチは掲載サイトが非公開。広告主の担当者は乗り気でも、社内稟議で頭の固いオジさんのOKを取るのは容易ではありません。その意味では、Yahoo! JAPANの「行動ターゲティング広告」は、どこの馬の骨が運営しているか分からないサイトではなく、馬鹿でも知っているYahoo! JAPANディレクトリー内の、オフィシャルで「安心」なコンテンンツページに広告が掲載される訳ですから、広告営業上での優位性はいうまでもありません。

インターネット広告の分野では、世界的にはGoogleがナンバーワン企業ですが、我が国ではYahoo! JAPANがダントツの存在。Yahoo! JAPAN&それ以外という構造になっているのはご存知のとおり。
月額2000円台という価格破壊的な料金設定や、街頭でのモデム無料配布というIT企業らしからぬ泥臭い手法で常時接続ブロードバンドADSLを普及させ、「ナンバーワン、金メダルでなければ意味がない」いう戦略を貫いた孫正義さんの「商売人」としての天才ぶりが、WEB2.0においても際立っているという気がします。
ピンポイントでターゲティングでき、しかも大量配信が可能なインターネット広告と、どんぶり勘定のアナログ・マス広告の違いをキッチリ認識しておくべきでしょう。
Yahoo.comが導入した当初は「短時間」の「行動」分析結果とのリンクだったようです。これでは、キーワードマッチやコンテンツマッチと変わりありませんが、現在の広告メニューは「直近4週間」のWEBサイト閲覧「行動」をターゲットにしているので、ターゲティングのレベルに雲泥の差があります。ユーザー個人の住所・氏名が特定される訳ではありませんが、本人が知らないうちにインターネットの閲覧行動履歴を第三者に取得され、趣味嗜好や関心領域を分析され、その解析結果に基づいてピンポイントの狙い撃ち型広告が「大量」に配信されるという、考えようによっては恐ろしい時代になりました。

問題は「バナー」というビジュアル優先の広告表示であること。Googleの検索連動広告には、広告表示形式としてテキストの他に横長のバナーや縦長のスカイスクレーパーがありますが、テキスト広告スタイルがメインです。
見るからに「広告」っぽい「バナー」に対して、「記事」っぽい「テキスト」広告がCTR面では優位性があることが少なくないことは周知の事実です。ターゲットを絞り込んで表示させているため、通常の絨毯爆撃型バナーよりはCTRは高いでしょうが、テキスト広告が表示される検索連動広告のように数%レベルまで行くかどうか、期待と懸念が相半ばする心境です。