広告代理店とWEB制作会社の企業文化・風土の違い

「広告会社のためのWEB講座」というセミナーに参加しました。講師は博報堂出身で現在フリーのH氏。10数年前に博報堂がインターネット広告の研究に取り組み始めたときの6人のメンバーのひとりで、現在もフェローとして処遇されているようです。SEOや検索連動広告・アフェリエートで素人でも大儲けできるというネット万能の俗説にはうんざりしていますが、H氏のセミナーは、広告会社のWEBマーケティング担当者としての10数年に渡る実体験を踏まえた上での講義でしたので、同感できる部分が多々ありました。
セミナーの中でも興味深かったのが、アナログ系広告業界とIT業界の企業文化・企業風土の違いに関する言及です。アナログ系広告業界ではタブーとなっている「できません」という言葉をIT業界では平気で使う。逆に、アナログ系広告業界では安易にいわない「できます」という言葉をIT業界では平気で使うというエピソード。
ライブドアの堀江氏がオン・ザ・エッジ時代に、ある広告キャンペーンサイトのサーバーがダウンしたとき、堀江氏は「サーバの定期メンテナンスだから接続できなくなるのは当たり前」と居直ったそうです。定期メンテナンスが必要なことはアナログ・デジタルを問わず当然ですが、キャンペーン期間中に、アクセスポイントとしてPRされているサイトへ接続できないとなれば大問題。「定期メンテナンス」を行うのであればアナログビジネスの世界では、時間を早朝・深夜にするのは当然です。技術的なエラー原因が何であれ、アナログ系広告業界ではクライアントの発注どおりの広告掲載ができなければ大問題になりますが、「バグがあって当たり前」のIT業界では日常茶飯事というわけです。広告業界だけではなく、アナログなOldビジネスの常識と、デジタルなNewビジネスの常識とは大きく異なるといっていいでしょう。