電子マネーの危うい状況、NTTグループの内ゲバ

従来のマスメディアとインターネットとの大きな違いは、インターネットが従来の販売ルートの代替ルートになりうること。インターネットの普及により、メーカー直系の販売会社や卸問屋、販売代理店を仲介せず、メーカーが消費者と商品やサービスを直接取引することが可能になりました。その際、問題になるのが物流システムと決済システム。決済システムにおいて、今後メインとなることが予想されるのが「電子マネー」です。ユーザーにとってWEB上の有料コンテンンツを利用する際の決済手段として「電子マネー」の利便性は明らかですが、セキュリティー面での信頼性はどうかという懸念に関して注目されるニュースがあります。
2006年6月20日に発覚した株式会社NTTカードソリューション「ネットキャッシュID流出」問題です。NTTカードソリューションは次の様なお詫びとお知らせを発信しました。

《お詫びとお知らせ》不正アクセスによる「ネットキャッシュID」の流出に関するお詫びとお客様へのお願い:株式会社NTTカードソリューション
http://net-cash.jp/news/20060619_systemerror.html
平成18年6月20日
平素はNET CASHのご利用誠にありがとうございます。この度、弊社は「NET CASH」のサーバーに、外部から何者かが不正にアクセスし、「NET CASH」IDが流出した可能性があることを確認いたしました。このような事態が発生し、お客様をはじめ関係各位に多大なご迷惑、ご心配をおかけすることになりましたことを、深くお詫び申し上げます。今回の不正利用により、お客様が正規にご購入頂いた「NET CASH」IDが未使用にもかかわらず残高が無くなっている、または減っている可能性がございます。また、被害の未然防止のため一部IDを利用停止しましたので決済の入力画面でエラーとなる可能性もございます。

このチョンボに対して、同じNTTグループで電子決済システム「電子マネーちょコム」を取り扱うNTT communicationsは「電子マネーちょコムは安心安全」という言い訳をしています。

【謹告】電子マネーちょコムは安心安全:NTT communications
http://www.chocom.jp/topics/news.php?creyyyy=2006&cremm=06&credd=21&insno=1&sysyyyy=2006&sysmm=06
本日(2006年6月21日)他社の電子マネーで著しく安全性を疎外する事件の報道がありましたが、当該電子マネーの運営会社は当社とは一切関係なく、また当該電子マネーも当社が提供する電子マネー「ちょコム」とは全く関係がありません。当社が皆様に提供しております電子マネーちょコムは、確実な本人確認方式の採用とシステム上並びに運用上の万全なるセキュリティ対策により、常に安心安全にお使いいただけますので、今後とも皆様の一層の御利用をお願い申し上げます。

「ネットキャッシュID」の流出に関する直接的な責任は株式会社NTTカードソリューションにあるのは自明ですが、同じNTTグループ企業であり、同一事業領域の電子マネーを扱っていながら、「全く、関係がない」「一切、関係がない」と言明するのは逃げ口上というほかありません。
ユーザーにとって、NTTコミュニケーションズもNTTカードソリューションも、同じNTTグループ企業という認識なのです。銀行振込やクレジットカードに代る決済手段電子マネーとして NTT なら安心だろうというブランドそのものの信頼性が問われているにも係らず、<電子マネーちょコム」は安全>という独りよがりな【謹告】を発するノー天気なセクショナリズムには呆れる他はありません。