市民記者によるネット新聞:Oh my Newsいよいよ日本に上陸

7月6日、CCIの代理店説明会に参加しました。内容は盛りだくさんですが、ロングテールCGMへの取り組み強化という、メディアレップの本質とは矛盾した営業方針による広告メニューが基本でした。
WEB2.0というコミュニケーション革命は、既存マスコミや大手広告主・広告代理店のビジネスモデルを根底から否定するものですが、「これからはロングテールの時代」だから時代の流れに乗り遅れたくないという、さもしい根性が見え見えで、何をいまさらうろたえているのか、というのが正直な実感です。メディアレップという存在自体が、ネットにおいては保守反動勢力に過ぎないのです。コミュニケ−ションツールとしてのネットの重要性や価値はいうまでもありませんが、広告媒体として見た場合のネットの重要性や価値は過大評価されています。同じ液晶モニターを見ていても、関与姿勢においてPC=ネットはLean forward、TVはLean bacという本質的な違いがあるからです。

それはさておき、説明会のメニューで興味深かったのが、市民記者によるネット新聞として話題の韓国Oh my Newsが、いよいよ日本に上陸するというニュース。
正規Openは8月28日。運営元のオーマイニュース・インターナショナル社は本年3月7日設立、資本構成は韓国オーマイニュース70%、ソフトバンク30%、代表取締役社長はオ・ヨンホ(韓国オーマイニュース代表)です。
現在、サイト開設準備中で、7月21日から市民記者の募集を開始、年内1,000名、正規Open時には2000名の市民記者の参加を目標にしているとのこと。
日本版の編集長はニュースキャスターの鳥越俊太郎氏。毎日新聞記者、サンデー毎日編集長を歴任しており、新聞・雑誌・TVというマスメディアを熟知していると思われるジャーナリストです。
本家・韓国オーマイニュースは2000年2月22日午後2時22分立ち上げ。すでに42,000人が市民記者として登録しており、KBSテレビ、朝鮮日報MBCテレビ、東亜日報中央日報ハンギョレ新聞、SBSテレビ等の大手マスコミと並んで、韓国でもっとも影響力のあるメディアのひとつであり、2002年の大統領選挙では大きな役割を果たしたとされています。
掲示板・ブログ・SNSなどで情報発信されるCGMでは匿名・偽名・なりすまし名義による無責任なコメントや風評の流布が大きな問題です。
Oh my Newsでは署名原稿が基本。投稿された市民記者の原稿はそのまま掲載されるわけではなく、プロの編集者の審査を経て公開され、記事の内容についてはオーマイニュースも共同責任を負うということですから、情報の信頼性はかなり改善されています。
投稿記事が採用された場合、市民記者に対して原稿料が支払われるというシステム。本人確認は振込用の銀行口座でなされるとのことです。
編集長・鳥越俊太郎氏は、ストーカーによる女子大生殺人:桶川事件の際にTV番組視聴者=素人からの情報提供の威力を実感したとのこと。「ネットは新聞を殺すのか」というかねてからの論議が、別の次元で問題になるでしょう。
記者による独自の取材ではなく、警察や官公庁などの「大本営」による記者発表を元にしたマスコミ報道の問題点や限界については周知の事実であり、「悪いやつほど、よく眠る」世相に対して鉄槌を下すメディアに育だつことを期待します。