ネットのクチコミパワーを活用した「トーキョー☆ブックマーク」キャンペーン

先日参加したセミナー(第10回OAAA夏期広告セミナー)において、博報堂のコピーライター・土屋氏による「ネットのウワサ、ウワサのネット」というタイトルの興味深い事例紹介がありました。旅行会社:JTB日本旅行近畿日本ツーリストJR東海ツアーズとJR東海をクライアントにして現在展開中の「トーキョー☆ブックマーク」キャンペーンについての講義です。
http://www.tokyobookmark.jp/
ポスト愛知万博の旅行需要落ち込みに対して、何かいい対策はないかという課題に応えて、土屋氏たちが提案したのが、ネットのクチコミパワーを活用したキャンペーン「トーキョー☆ブックマーク」です。電通が展開する「そうだ、京都行こう」キャンペーンに対抗して「JR新幹線を使った東京観光」需要を拡大しようというのが企画の狙い。メインターゲットは、関西在住のOLです。
キャンペーンのキモは、土屋氏自身がブログを活用した関西の生活情報サイト「関西どっとコム」の編集長としての運営実務を体験していること。広告代理店のクリエーターであると同時に、素人のクチコミ情報を中心にしたブログサイトの長所だけでなく短所も知り尽くしたエキスパートであることです。
「関西どっとコム」の株主は、関西電力(15%)、ケイ・オプティコム関西電力系列の光ファイバーインターネットISP(40%)、博報堂(30%)、京阪神エルマガジン社(15%)。「トーキョー☆ブックマーク」キャンペーンは、ISP・広告代理店・地域情報誌出版社という組織的・資金的な基盤やブロガーの人的ネットワークを背景にして誕生しているわけで、流行のCGM活用に乗り遅れるなという動機によって誕生しては消えていくアイデア倒れのバブル手法とは一線を画した存在といえるでしょう。
「地域生活情報サイトを核にしてバイラルマーケティングあるいはバズ・マーケティングを展開する」という思いつきを見栄えの良い「作文」にまとめたり、ブログサイトを立ち上げることは容易ですが、クライアントの狙いに沿ったサイトとして育て上げ、運営を継続することがどんなに困難かはいうまでもありません。