WEBサイト内の閲覧行動は回遊型から直行型へ

2001年のベスト10のうち、2006年もランク入りしているのは「goo」と「2ちゃんねる」のみ。2000年秋に日本でもサービス開始した「Google」はトップ20にも名前がない。
検索連動広告のワード分類基準に従えば、2001年にベスト10入りしていた普通名詞Bigword:「壁紙」「チャット」「出会い」「占い」「地図」は、2006年にはすべてランク外であり、ベスト10はすべて特定のサイト名を示すSmallwordである。
BigwordからSmallwordへの大きな変化は、ユーザーのネット利用目的や閲覧行動の大きな変化の反映と推察される。2005年であったか、Yahoo! JAPANの検索結果ページの表示がディレクトリー優先からページ優先に変更されたことも一部影響しているかも知れないが、大型SCをぶらぶらと回遊するウインドーショッピング型から、お気に入りのセレクトショップやブランド専門店へ直行する目的買い型へ、ネット内での閲覧行動が変化したと理解すべきであろう。

初期設定しているホームページが多様化し、ロングテール化していることを2006年6月17日付け記事:下記URLで指摘したが、上記のデータからもユーザーが情報収集やショッピング・娯楽の便利な道具としてWEBを使いこなしている姿がイメージされる。
http://d.hatena.ne.jp/popoya/20060617

ネット閲覧行動の買い回り型から目的買い型への変化は、ネットにアクセスする以前に、目的のサイトが決定しているということ。現状でのメディアとの接触状況を前提とすれば、ネットサーフィンをしている途中でたまたま目に触れた情報をきっかけにしてアクセスする可能性よりも、ネット外のコンタクトポイントで接触した情報をきっかけにして目的サイトの存在や名称を認知してアクセスする可能性が圧倒的に高いと考えるのが自然であろう。クチコミももちろんそのひとつであるが、WEB外のリアルワールドで接触するさまざまなメディアから得る情報の価値や重要性は、依然として健在なのである。
目新しいようにみえるCGMマーケティング行動ターゲティングデモグラフィックターゲティング・コンテンツターゲティング等のWEB広告手法であるが、ユーザーの情報検索活動の途中に「広告」を挿入=紛れ込ませて広告主サイトへ誘導しようとしているのには変わりはない。目的サイトへアクセスしようとするユーザーにとって、途中に表示される寄り道誘導型の情報は、記事であれ広告であれ邪魔者以外の何者でもないと覚悟すべきではなかろうか。
クロスディアマーケティングCRMの中核としての企業サイトの価値やSEOSEMの重要性は今後ますます高まるだろうが、広告媒体としてのWEBの価値はアナログ4マスやSPを含めたメディアのone of themと位置づける方が妥当であろう。