女性向けサイトのSilent majority 通販&料理レシピサイト

女性をメインユーザーに想定したWEBサイトとしては、下記のようなサイトが著名だ。
@cosme アット・コスメ:化粧品に関するクチコミ情報サイト
http://www.cosme.net/
▼オズモール OZmall:首都圏女性情報誌「オズマガジン(OZmagazine)」のインター ネット版
http://www.ozmall.co.jp/
▼s-woman.net エスウーマン:集英社が発行する女性誌が共同運営する女性向けポータルサイト
http://www.s-woman.net/
▼cafeglobe.com カフェグローブ :女性誌の制作に携わってきた女性編集者たちが開設した女性のための情報サイト。
http://www.cafeglobe.com/index2.html
いずれも、イメージターゲットは、知的なキャリアウーマン。20才〜30才半ばのF1層=可処分所得の多い「おひとり様」をメインユーザーにしているため、企業の関心や注目度も高く、「モノいう女性のサイト」としてマスコミ等でも話題になることが多い。しかし、アクセス数やページ閲覧数等の視点からみると、これらのサイトはマイナーな存在にすぎない。
インターネット視聴率調査からみた女性向けサイトのSilent majority=隠れた実力サイトは、カタログ通販系サイトや料理レシピサイトである。F1層だけではなくF2・F3層を含む広範な女性ユーザーのニーズに応えていることを考えると当然の結果ではあるが、その実力が以外と知られていない。

女性向けサイトのインターネット視聴率

<女性向け主要サイト インターネット視聴率>
※Video Researh Intaractive調査による2006年3月の月間視聴率調査結果

■サイト名称:推定接触者数:平均視聴ページ
1 ベルメゾンネット  :1411千人:63.4P
女性のための総合オンラインショップ http://www.bellne.com/
2 ニッセン・オンライン:1291千人:86.0P
カタログショッピング「ニッセン」の通販サイト http://www.nissen.co.jp/index.htm
3 レシピ大百科    :538千人:12.9P
味の素(株)が運営する料理レシピサイト http://www.ajinomoto.co.jp/recipe/
4 cookpad      :520千人:70.3P
公開レシピ数10万品:日本最大の料理レシピサイト http://cookpad.com/
5 FELISSIMOフェリシモ :486千人:35.6P
カタログ通販WEBサイト。http://www.felissimo.co.jp/
6 image イマージュ :469千人:25.2P
ファッション通販サイト http://www.st-image.com/content/
7 @cosmeアット・コスメ:418千人:66.3P
8 オズモール OZmall :397千人:23.9P
9 ボブとアンジー   :356千人: 8.4P
大阪ガス運営の料理レシピサイト http://www.bob-an.com/
10 s-woman.net    :318千人:17.7P
11 cafeglobe.com   :305千人: 6.6P

ごらんのとおり、カタログ通販「ベルメゾンネット」「ニッセン・オンライン」が2強の状況。Livedoorが四国の女性下着通販メーカー「セシール」を買収しようとしたことを思い起こしてほしい。マスコミ向けの派手な話題性と、ビジネスとしての市場性は別なのだ。オークションやECサイトのカテゴリーでくくった場合は、カタログ通販系もマイナーサイトに過ぎないけれど、その「実力」が軽視されるすぎであることに注意を喚起しておきたい。

女性向けサイトを活用した代表的ビジネスモデル=カフェグローブ

マスコミ等で女性向けサイトの代表的存在として取り上げられることの多いカフェグローブcafeglobe.com。会社概要の中でサイトの特徴を次のようにPRしている。

知的好奇心の強いすべての女性のために。
自分たちの読みたい情報をあらゆるジャンルからセレクトし、自分たちの視点で編集したのが「Cafeglobe.com」です。政治・経済をわかりやすく伝えるコラム、人気スタイリストによる雑誌よりも早い新着ニュース、キャリアアップのためのリアルな情報、海外のライフスタイル事情など、新聞やテレビではわからない生の情報をお届けします。また、ユーザーの意見を反映しての商品開発や18ジャンルあるBBSなど、ユーザーの参加も活発です。

代表者・矢野貴久子さんは若くて知的な印象の美人。短大卒のOLからITセレブ社長になったシンデレラガールとしてマスコミの注目を浴びることも多い。ロジャースの「イノベーター理論」、ムーアの「キャズム理論」から推察すると、F1キャリア女性向けサイトは、イノベーターやオピニオンリーダーへの初期市場開拓はできても、一般大衆Majority層が集まるメインマーケットへの浸透は本質的に困難と思えるが、賢明な主宰者のことなので、そんなことは百も承知なのだろう。サイトの運営自体から収益を得るのではなく、サイトに囲い込んだユーザーリストを武器に、市場調査や企業とのコラボレーションによる商品開発等によって収益を上げるビジネスモデルと考えれば、女性の中でもF1オピニオンリーダー層に特化していることは、プラスではあってもマイナスにはならない。

WEB2.0的注目サイト/@cosmeアット・コスメ-料理レシピcookpad

WEB2.0の潮流に適合しており、一般大衆Majority層への浸透が期待されるのは、化粧品のクチコミサイト@cosmeと、料理レシピサイトcookpadである。
cookpadは公開レシピ数10万品、日本最大の料理レシピサイトとなっている。サイトの特徴はasahi.comの下記特集が的確に要約している。
http://be.asahi.com/20030301/W15/0033.html

ライバルは、大阪ガス、味の素や出版社のオレンジページが、それぞれ手がける料理サイトだが、レシピ数は5000〜6000にとどまる。人気の秘密は双方向性。無料で会員になると、自慢のレシピを写真入りで公開できる。他の会員のレシピに対し、「おいしかった」「ゴマ油を加えた方がいい」などの感想や意見を送ることもできる。運営側が用意したレシピを探すのが主体のサイトと違い、ここのレシピはすべて会員の「投稿」だ。

志高い異色の通販サイト-FELISSIMOフェリシモ

不言実行で実利を追求する通販サイトの中で異色なのが「FELISSIMOフェリシモ」である。「ベルメゾンネット」「ニッセン・オンライン」の2強からは、かなり遅れをとっているが、サイトに掲げられている次のような企業理念には好感が持てる。

フェリシモがあなたにお届けしたいのは、単なる”もの”ではありません。ひとつの”もの”をきっかけに生まれる、素敵な”こと”を届けたい。そしてたくさんの人たちの想いをつなげて、みんながしあわせになれる”こと”を一緒につくり出していきたい。「ともにしあわせになる、しあわせ」。一枚のお皿や一着の服、日々の小さなものたちを通じて、フェリシモはたくさんの人たちと一緒にしあわせをつくっていきたいと考えています。

利益追求を至上価値にする原始資本主義に先祖帰りしてしまった現代日本で、このような理念を単なるお題目ではなく、商品やサービスに具現化していけるのなら立派であろう。企業にはオモテ・ウラがあり、額面どおりに受け取るわけにはいかないが、カタログやサイトに掲載されている写真やコピーはかなり質の高いもので、広告屋のひとりとして注目している企業である。
上記通販カタログ系企業の本社所在地はベルメゾン=大阪、ニッセン=京都、フェリシモ=神戸で、いみじくも関西を代表する都市の特性がサイトにも反映しているように思える。