独り勝ちSNS:急成長するmixi は広告媒体としても有効か?

Web2.0SNSCGMを象徴する存在としてmixi が注目を集めている。インプレスR&Dの「インターネット白書2006」によれば、SNSへの参加は2005年の2.6%から11.0%へ増加。SNSを利用している回答者の86.2%がmixiを利用しており、登録しているSNSは1つが主流(60.7%)と報告されている。つまりSNSではmixi が独り勝ちという状況である。
Yahoo! JAPANの「2006年上半期 検索ワードランキング」でも、検索ワードランキング1位の座から「2ちゃんねる」が陥落し、「mixi」(ミクシィ)が1位となった。一昨年ランク外・昨年12位からの大躍進である。
広告業界でもM1・F1層向け広告媒体としてmixi 人気が急上昇しているが、SNSCGMを大手企業が利用しようとしている風潮に、私自身は疑問を感じている。バズマーケティングバイラルマーケティングといった名称は、用語としては一見新しそうであるが、一般生活者を企業の意図に沿って操作可能な「大衆」と考えること自体が、Web2.0 と矛盾していると思えてならない。
ユーザー数が急増していることや滞在時間が長いCGMでありマス媒体化していることには異論はないが、イコール広告媒体としての価値に直結するとは思えない。数としては同じ100万人のターゲットでも、従来のマス広告の対象は無数の(均質な)個人の集合であるが、CGMでは(独自性を有する)個人とその知人で構成されたネットワークの集合が対象となる。従来のマス広告では「大衆」がメインターゲットであるが、CGMでは情報発信の核になる「知衆」=オピニオンリーダーがメインターゲットとなる。
「知衆」は企業が広告によって容易に操作できる存在ではないし、あってはならない。ナリスマシ行為やヤラセが発覚すれば、企業はブランド価値を大きく損ない、それに協力したオピニオンリーダーも「知衆」としての地位や信頼性を失墜してしまう。