クリック詐欺対策の一環か?Googleが新たに公表した配信先レポート

検索連動広告2大ブランドのひとつ、Overtureが欧米に次いで日本でも新システムに移行する。新旧ではもろもろの変化があるが、最も大きな違いは、広告の表示順位決定方法。従来は入札単価の高い順=他社よりも1円でも高く入札すれば上位表示されるというわかりやすい方法であったが、新システムではクリック率その他の要素が複合的に評価されることになった。Googleではすでに実施されているシステムであり、ひとことでいえばOvertureがGoogleに全面的に追随したといえる。
日本でのOvertureの新システムへの移行に呼応するように、Googleにも新しい動きが見られる。
ひとつは、Pay-Per-Action (PPA)Beta版の登場。
従来のGoogle検索連動広告システムでは、クリックに対する課金Pay-Per-Clickをメインにしていたが、広告主があらかじめ指定したアクション(ユーザー情報の登録や購買、特定ページの閲覧など)が完了した場合に、広告費を支払うという広告モデルである。PPAは、いわゆるアフェリエートで周知の手法であるが、Googleが採用したという点にニュースバリューがある。
インターネット広告に携わる実務レベルで、PPAよりも注目されるのが、配信先サイトレポートが6月から公表されるようになったこと。コンテンツターゲット広告やサイトターゲット広告の配信先サイト名称・URLや表示回数・クリック数・金額等の詳細な一覧表がレポートとして管理サイトから入手できるようになったのだ。
コンテンツターゲット広告を販売する際の実務レベルでのネックは、どのサイトにどのように広告が掲載されているのか、広告主や広告代理店には確認が容易ではないという非明瞭性・曖昧さにあったが、レポートが公表されることにより問題点が大幅に改善される。万事秘密主義的なGoogleにしては、英断とも思われる措置である。

検索連動広告については、クリック詐欺が無視できない規模にまで増加しているようだ。
http://internet.watch.impress.co.jp/www/column/kensaku/041208.htm
Googleの新しい広告メニューPPAや配信先サイトレポートの新規公開は、Overture対策というよりは,クリック詐欺対策の側面が強いかもしれない。

いずれにしても、コンテンツターゲット広告の「暴走」で痛い目にあった経験のある私としては大歓迎であり、配信先リストを早速ダウンロードし、表示回数やクリック数別等でソートしてみた。
広告配信先はニッチターゲットのサイトや個人ブログ等のサイトが大半を占めるロングテール型であろうというのは想定どおりであったが、想定外だったのがyoutube.comにも表示されていること。表示回数で圧倒的に多いのがyoutube.comであり、クリック数もそれなりの数値となっている。
URLとしては「www.youtube.com/watch」「www.youtube.com/results」等が上位表示されるが、実際に該当URLにアクセスしてみても広告が表示されていることは確認できなかった。さらに下位の階層watch/???:results/???や日本版youtubeの公開テストをかねてB版で表示されていたのかも知れない。
CTR順にソートしてみると、表示回数1でクリック数1=CTR100%の配信先が想像以上に多いことも気になる。スモールワードではなくミドル〜ビッグワードのデータとしては不自然であり、かなりビミューといわざるを得ない。表示回数2〜3でクリック数1という配信先も少なくない。Googleには広告表示拒否のURLを指定する機能があるので、クリック詐欺の可能性が高い配信先URLを敢えて公表することにより、広告主や広告代理店が疑わしい配信先を拒否できるようにする狙いではないかというのは穿った見方であろうか。いずれにしても、興味深い施策であり、動向については継続してウオッチしておきたい。