ネット広告の代名詞:バナー広告がYahoo! JAPANから消える?!

インターネット広告の代名詞といえばバナー広告であるが、本年10月上旬以降Yahoo! JAPANの広告メニューから消えてしまう。
Yahoo! JAPANの「主要広告商品の仕様変更のお知らせ」によれば「スーパーバナー」「ラージスクエア」全商品を、新仕様「プライムディスプレイ:300×250ピクセル」に変更するとのことである。トップページの代表的なメニュー「ブランドパネル」も本年12月30日(日)掲載終了分にて販売休止となる。
電通総研では、インターネット広告費が5年後の2011年には2006年の約2倍・7,558億円になると予測。金額ベースでの伸びを見ると、「モバイル広告費」「検索連動広告費」「固定ネット広告費」の3ジャンルのうち、上昇幅が最も大きいのは「固定ネット広告費」と分析している。「固定ネット広告費」には「モバイル広告費」「検索連動広告費」以外のPCインターネット広告費=バナー広告、テキスト広告、簡易動画広告、インターネットCM、企画広告およびEメール広告が含まれる。
http://dci.dentsu.co.jp/pdf/publication_070416.pdf
こうした予測に対して、我が国での「固定ネット広告費」の約50%を占める独り勝ち媒体Yahoo! JAPANにおいて、広告仕様の主役であった「スーパーバナー」が廃止されるというのは、皮肉な出来事といわざるを得ない。
広告仕様の変更の理由は「より視認性が高く、ブランディング訴求効果を高めるため」としている。縦横比が約8/1の「スーパーバナー:728×90ピクセル」に対して、正方形に近い新仕様「プライムディスプレイ:300×250ピクセル」は原稿制作=クリエイティブの面で自由度が高いのは事実だが、視認性やブランディング訴求効果が高まるかどうかは疑問。
17インチ以上の大型モニター普及を背景にして、Yahoo! JAPANでは本年10月〜来年1月にかけてサイトの大幅なリニューアルを予定している。asahi.com等でも表示サイズの大型化=リニューアルを実施しており、サイトデザインの変更→広告仕様は時代の流れでもある。
バナー広告配信の基幹ノウハウやネットワークを有するダブルクリックをGoogleが買収。検索連動広告=Google、固定ネット広告=Yahoo!という棲み分けが崩壊しそうな状況に対する対応策の一環という見方もあろう。
が、もっとも大きな理由は、バナー広告のクリック率が無視できないレベルまで低下してきていることではなかろうか。バナー広告のクリック率低下の背景には、ユーザのネット利用目的の変化やリテラシーの向上がある。ネットという巨大なSCを、格別な目的も無くぶらぶらとウインドーショッピングをして衝動買いする時代は終焉。検索エンジンで情報収集し比較検討、SNS掲示板・ブログなどの情報を参考にお気に入りのセレクトショップや購入予定商品売り場へ直行する、クールな目的買いのユーザーが主流になったのだ。人通りの多い場所に大きな看板・バナー広告を出す=へたな鉄砲も数撃てば当る、という従来型マスメディア広告の論理はインターネットでは通用しなくなった。時代の変化を象徴する出来事のように思えてならない。